(ゴンッ)
あいたっ。
大丈夫?
メメちゃんいっつもそこの入り口に角ぶつけてるよね。
おかげでそこの壁だけもうボロボロだもん。
ついつい自分の横幅を考えず歩いちゃうんですよ。
……外で人にぶつけたりしてないよね?
私、あまり人の近くにいないので大丈夫です。
そっか……それはそれで心配だよ。
ちなみに、その角に痛覚はあるの?
うーん……触られた感覚はありませんが、やっぱり骨の一部なんですかね。
ぶつけたりすると痛いですよ。
へぇ。
まぁ、ぶつけたところよりも角の付け根のほうが痛いんですが。
頭蓋骨か。確かにそこに衝撃があるのは痛そうだね。
角が生えてるのって正味どうなの?
やっぱり不便なことのほうが多い?
そうですね。
簡単な例だとすぐにどこかにぶつけたり、あと寝返りが打てなかったりですね。
うわ……メメちゃんいっつもどうやって寝てるの?
私はいつもうつ伏せで寝てます。
仰向けじゃないんかい。
息苦しそう。
あとは……そうですね。
服の制限があります。
今着てるブラウスとかワンピースなら大丈夫ですが、頭からかぶるタイプの服が着れませんね。
Tシャツとかか。
確かに、アマちゃんはTシャツに短パンだけど、メメちゃんは年中パジャマ着てるもんね。
着れないだけあって多少のあこがれはありますよ。
それは申し訳ないね。
僕が角を付けたばっかりに。
いえいえ。
でも別に嫌なことばかりじゃありませんよ。
この角だって使える時があるんです。
なんか物騒なことに使ってないよね?
まさか。
角田さん、雨の日を想像してください。
え? うん。
傘をさして駅まで来ました。片手は荷物、片手は閉じた傘。
両手はふさがっています。
そして目の前には改札。
…………。
なんと! 角に傘をかければスムーズに定期券を取り出せるんです!!
うん、まぁ。
うまく使ってるようで安心したよ。
メメちゃんの角の使い道、募集中です。
以上。