地獄の二丁目:僕の50m走のタイムは13秒

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そういえば友達と話しているとき、運動ができるか否かの指標として「50m走何秒だった?」と聞かれることがたまにあります。

 

僕は毎回、適当に言葉を濁します。

 

というのも、僕が高校三年生の体力テスト(最後の公式記録)では50m走のタイムは「13.○○秒」と書かれているのです。100m走じゃないです。半分の50mです。

 

ここで、Yahoo!知恵袋の引用です。質問内容は「中学生の100mの平均的なもは何秒くらいですか??」です。

 

15秒以上~えっ?走ってる最中こけた?
14秒~君はまだいけるんじゃないか?
13秒後半~おぉっ!これまたなんて微妙な…
13秒前半~12秒台は目前だ!頑張れ!
12秒後半~おおおぉぉぉ…
12秒前半~ちょっと速いねぇー
12秒未満~は、速すぎね?嘘ついてる?w
11秒未満~オイ!オマエ!フライングしただろ!

ってことで13秒くらいじゃないですか?

 

……はい。これ、「中学生100m走」に関しての意見ですから。

僕は決して「おぉっ!これまたなんて微妙な…」には該当しません。

高校生の50m走でこんなタイム見たら失笑で言葉もでないでしょう。

 

というわけで、運動ができなくて運動会が憂鬱だよ……というキッズたちも安心して僕の事を見下してほしいと思います。

13秒なんて数字を出せる人間はほとんどいません。ましてや、人生最後の公式記録が13秒の人間なんか僕くらいでしょう。

 

で、話を戻してなぜ友人に対してこの記録をあまり言わないのか。

足が遅いのを恥じているのではありません。いちいち説明がめんどくさいのです。

 

それもそのはず、僕は中肉中背の平均的男性。運動が好きじゃなさそう……という見た目の印象は置いといて、とても13秒を出せる逸材には見えません。

また逆に歩くよりははるかに速いので、本当にこのタイムは僕にとって一つの呪いでしかありません。

 

となると、追加で説明が必要になるのです。

 

僕がこの記録を出した理由として、簡潔に言えば「途中で転んだ」ということで済むんですが……どうですかこれ。

「運動苦手だけどプライド高いやつの言い訳ベスト3」にランクインする言葉でしょ。「靴が壊れてるんだよねw」とか、「昨日あんま寝てないから調子悪いわw」と同じ部類ですよ。

 

 

というわけで、僕はここでその経緯を詳しく書きますんで。

この記事を読んだあなたはしっかりと理解して、僕を馬鹿にするのはやめてください。

 

では、高校三年生のときの話。

 

どちらかというと僕は、運動は苦手な方でした。好きだったんですけどね。

ただ、「うわ! 角田がいるから今年の体育祭確実に負けじゃん!」と言われるような「絶望の権化」ではありません。本当です。

 

で、高校三年生の体力テスト当日。

生意気にも50m走で良いタイムを出そうと思っていた僕は、綿密なイメージトレーニングを重ねて、スタートラインに並びます。

 

「位置について よーい……!」

 

サッっと合図の旗が上がり、僕は全力で走り始めました。

 

既に気持ちはウサイン・ボルト。心なしかいつもより足が速くなっているような気すらします。

 

そして、ここで一つ疑問を抱きました。

「あれ、僕こんなに足速かったっけ?」

 

体力テストまでの間で「全力で走る」という機会が全くなかったため、僕は自分の足の速さを忘れていたのです。

そして、調子に乗りました。

「もっと速くできるような気がする……!」

そうして、僕は自分の足に全ての力を込めました。

ここまででだいたい30mくらい。

 

あ、ちなみに一緒に走っていた2人の友達は野球部とサッカー部だったのでこの時点で僕はぶっちぎりのドベです。

 

で、その瞬間は訪れます。

 

気持ちが「速く……もっと速く……!」となっていたことが災いし、僕は転びます。

 

転ぶというか地面にボディプレスをするような、奇妙な体勢でスライディングをかましました。

まだ35mくらいです。

 

普通ここで立ち直って走るとだいたい9秒とか10秒というタイムが出て、走り直しで巻き返すといった流れを期待するでしょう。

 

しかし、僕は立てませんでした。

先程の衝撃で右膝が終わりを迎えていたのです。

まぁ、通常転んで負う擦り傷の5倍くらい広くて深い傷を負ったとイメージしてください。

そうして悶えること数秒。

 

レーンに残っているのはもはや僕だけで、皆が無言で見守る中、けんけんでなんとかゴールテープを切ったのです。

 

 

 

 

 

すぐに保健室に連れて行ってもらいました。

保健室の先生は「あら~~~~~」と、知り合いに赤ちゃんを見せてもらった時のような声を上げて、治療してくれました。なんでちょっと嬉しそうな声なんだろう……。

 

そして、ひとまず応急処置を終えた僕が戻った時、グランドではまだ50m走の二回目を行っていました。

傷が広いため、僕は右足をかばうようにして歩かなくてはなりません。

先生は僕と僕の足を交互に見ながら

 

「.......二回目……やるか……?」

と言いました。

 

 

 

「できるかっ!」

 

……とは言わず、「ちょっと厳しいんで、一回目のタイムで大丈夫です」と答え、僕はその後立ち幅跳びに挑むため、武道場へと向かいました。

まぁ、これも散々な結果です。

 

そうして、僕の生涯最後の公式記録は50m走13秒という異例のタイムで締めくくられたのです。

 

 

 

 

 

 

書いてて思ったのは、これは馬鹿にされても仕方ないな、ということです。