(コンコン)
メメちゃんいる?
はいはい、角田さん。
どうしましたか?
いや、別に用事って用事はないんだけど。
暇だし、コンビニでも行ってこようかなって。
何かいる?
ああ、なら私も一緒に行きますよ。
私も特にすることないんで。
分かったよ。
……それにしても、メメちゃん。
部屋の片づけはちゃんとしようね。
なんだかよくわからないものがいっぱい転がってるけど。
はい。分かってるんですけどね。
定期的に片づけて、いつの間にかこうなってるんですよ。
なに? その奥に転がってる石みたいなの。
ああ、これですか?
(ゴトッ)
お地蔵様です!!
……返してきなさい。
お地蔵様を持って帰ってくるのは犯罪だよ。
いくら私でも道端のお地蔵様を持って帰ってきたりしませんよ。
酔っ払いじゃあるまいし。
じゃあなんでここにあるの?
時々こういう物が私宛に送られてくるんですよね。
差出人も不明で。
もう怪奇現象じゃん。
……よく見るとこの地蔵、耳がないね。
ああ、そうですね。
元々あったみたいなんですけど、雑に耳の部分だけ壊されていますね。
いわくつきのものだったら……というか、どう見てもいわくつきのものだからさ、手放した方がいいんじゃない?
それはそうなんですけど……。
何度捨ててきても、壊しても、帰ってくるとこの部屋にあるんですよね。
…………。
いや、シャレにならないって。
めちゃくちゃ怖くなってきた。
メメちゃんは平気なの?
まぁ、悪魔なので。
そっか、そこらの悪霊よりもメメちゃんの方が怖いもんね。
ただ……。
私と角田さんはいいんですけど、アマちゃん先輩たちに危害が加わったらと思うとちょっと不安ですよね。
いや、僕もその一員に混ぜてよ。
不安になって。
時々道行く知らないおばさんに「耳は戻りましたか?」って聞かれることも増えたので、そういう変な人が屋敷に来ても嫌ですよね。
めちゃくちゃ嫌。
ある時普通に屋敷の中に出没しそうで嫌。
でも、本当になんなんだろうね、これ。
メメちゃんも変に触らない方がいいかもね。
硬い枕がほしい時にこれを枕にして寝てます。
手遅れかい。
たくましすぎるよ。
今度これを重しにして漬物でも作ろうかしら。
地蔵もメメちゃんのもとにあることを後悔してるかもね。
以上。