皆さん、自分で物語って作ったことありますか?
まぁ、少なからず頭の中で「こういう物語作ったら面白いだろうなぁ」というような妄想くらいはしたことがあるのではないでしょうか。
僕はこの妄想だらけの学生でした。
そして高校生になり、文芸部に入った僕は小説を書き始めます。
文芸部の部誌に載せるだけあり、最初からかなりの緊張感をもって書いていました。
そして3年間書き続けたので作品数だけなら割とあります。
中には目も当てられないような恥ずかしいものだってあります。
が、今回は、これまで書いた中でも割と読める話のあらすじを紹介していきます。
あと、一個一個が長いのでシリーズ化しました。
……分かりやすく「あらすじ」とは言いましたが、ここで紹介する作品は公開していないものばかりなのでオチまでしっかりと書いていきます。
・小さな図書館から
高校のときの作品です。
分量としては5000文字程度の短いものとなっています。
これは部内のお題小説で、部員はそのお題に沿った物語をそれぞれ描くというものです。
そしてこのときのお題は「文芸部」。
新入生に配るものだったので「文芸部の楽しさを伝えて部員を獲得しよう」という目的がありました。
ただ、書くのはあくまで小説。つまりは創作なんです。
だから、「身内ネタを封じるためにも実在の人物を登場させるのは禁止」という制限を設け、あくまで架空の文芸部を書くという縛りをつけました。
また、主人公の名前とヒロインの名前は部内で統一しました。これは特に理由はありません。強いて言うなら部の一体感を出すためでしょうか。
ちなみに主人公の名前は「夢路十夜」、ヒロインの名前は「古本文」です。
アイタタタタ……ですね。
ですが、僕が決めたわけじゃないので少しも恥ずかしくありません。
で、肝心のあらすじ。
高校一年生の夢路十夜と古本文が出会う場面から物語は始まります。
脚立を踏み外して本棚からぶら下がっていた文に「脚立を立て直してあげる」という極めて地味な行為で助けた十夜は彼女から文芸部の存在を聞きます。
文はこの高校唯一の文芸部員でした。
当初は三年生が数人いたのですが、受験を意識したことをきっかけに退部。新入生の文だけが取り残されていたのです。
先程、彼女は蔵書点検のために脚立を使っていたのでした。
高校に入学して一か月。既に弓道部を退部していた十夜はどうして文芸部をやめないのか彼女に聞きます。
蔵書点検は文芸部がする仕事なので、文芸部さえやめてしまえばその仕事はなくなります。どうせ一人しかいないのならやめてしまった方が楽だと考えていたのです。
文はその問いに答えず、数十年前の部誌を十夜に見せました。
その部誌は非常に賑やかなものでした。プロではない「高校生の生の作品」の自由な発想を新鮮に思った十夜はだんだんと部誌に惹かれていきます。
十夜は、文が「一人ではこんな賑やかなものは作れない」という理由から生徒が入部してくるのを待っているのだと悟ります。
そして同時に、「小説を書く」ということはそんなに敷居の高いことではないことを知ったのです。
弓道部をやめ、することの無くなっていた十夜はなにか熱中できる趣味を探していました。そもそも図書室に来たことも趣味探しの一環だったのです。
素人ながら小説の書き方、基本を勉強した十夜は文に「自分も文芸部に入る」旨を伝えるところで物語が終わります。
……という、地味なボーイミーツガールでした。
流れとしては特に大きな起伏があるわけではないのですが、この小説に関しては別のギミックに力を入れていました。
本文でも直接の描写はないのですが、これ、僕の通っている高校の数十年後の未来を書いた作品なんですよ。
「部内の身内ネタがダメなら学校単位の身内ネタにすればいいじゃん」という発想によって出来上がったのです。
自分で書いておいてなんですが、僕はこの作品がけっこう好きです。
多少の青臭さはあるものの、現実に即した設定でやりたいことはちゃんと盛り込んでいるという、「当初から思い描いていたものを実体化できた」という満足感が大きいですね。
あと、このお題小説。もちろん他の部員も夢路十夜と古本文を使って作品を書いていたのですが、「銀魂のようなツッコミを見せる十夜」や「食いしん坊属性を付与された文」など、個性豊かな作品が乱立し、逆に僕の作品が浮くという謎現象が起きていました。
なにごともほどほどに力を入れるのが大事ですね。
以上。