角田さん！
助けてください！！
おーカガちゃん、どうしたの。
また虫が出た？
違うんです！
さっき自室にいたらアマちゃん先輩が急に襲ってきて……。
襲ってきてって、どういうこと？
私にもよく分からないんですが、「あんたをやっつけてやる！！」って言いながらパンチをしてきまして……。
……？？？
場面はイメージできたけど、状況としてはよく分からないな。
アマちゃんどうしたんだろ。
あれ、それで問題のアマちゃんは？
つい反撃しちゃいまして、アマちゃん先輩は気絶しちゃいました……。
今は私の部屋で寝ています。
アマちゃんは相変わらずのフィジカルの弱さだね。
どうしたんだろ。
やっぱり宿題が終わらなくておかしくなっちゃったのかな。
まぁ、ひとまずカガちゃんの部屋に行こうか。
～～～～～～～～～～～～～～～～～
あ、本当だ。
アマちゃんがのびてる。
アマちゃん先輩の顎に思いっきりパンチが入ったんでしょうね。
あれメメちゃん、いつの間に。
なんだか事件の匂いがしたので。
私、何かアマちゃん先輩を怒らせてしまうことをしたのでしょうか……。
アマちゃんは別に怒りっぽくはないし、カガちゃんには特に怒ることもないと思うんだけど。
これは何があったんですか？
アマちゃん先輩とカガちゃんのケンカです？
ああ、それはかくかくしかじかで……。
アマちゃん先輩がそんなことを……？
ひとまずアマちゃんの部屋に運ぼうか。
ベッドに寝かせてあげよう。
～～～～～～～～～～～～～～～
あれ、雨海どうしたんだ？
カガちゃんの一撃で気絶しちゃってね。
今後カガちゃんの得意技を「クロスカウンター」にしようと思ってるよ。
私そんな得意技は嫌です！
なんだ、カガに挑んだのか。
おバカさんだな。
……「なんだ」って、大ちゃん何か知ってるの？
ああ。
さっきあたしの部屋にも来たぞ！
なんか変なこと言ってた！
……ちょっと話を聞こうかな。
大ちゃんも一緒にアマちゃんの部屋に行こう。
～～～～～～～～～～～～～～～～～
……つまり、大ちゃんの話をまとめると、
アマちゃんは大ちゃんの部屋に入って「この屋敷から出ていけ！」って言いながら大ちゃんにも襲い掛かったと。
で、超絶強い大ちゃんが拳を受け止めたら、アマちゃんはひるんで逃げて行ったんだね。
で、向かいのカガちゃんの部屋でノックアウトと。
アマちゃん先輩はどうしちゃったんでしょうか。
蛇が嫌いになっちゃったんですかね。
そんなことはないはずですが……。
誰か、心当たりのある人はいますか？
…………。
……まぁ、ないよね。
僕は昨日一緒にブログを更新したよ。
その時は普通だった。
あ、そういえばアマちゃんの宿題は？
そのストレスでおかしくなったんじゃないの？
いえ、アマちゃん先輩の宿題は私がチェックしていたのですが、２日前に終わっているんですよ。
あ、そういえば。
今日アマちゃん先輩をリビングで見ていません。
確かにそうだな。
いつもリビングにいるのに。
じゃあ、アマちゃんはこの部屋にいたんだ。
……何してたんだろ。
ちょっとみんなで手分けしておかしなものがないか探そうか。
～～～～～～～～～～～～～～
角田さん！
これ！
あ、それはアマちゃん２号……。
ベッドの下にありましたよ。
メメさん、それはなんなんだ？
これは愚かな角田さんが作り上げた魔の人形です。
これを使ってひとりかくれんぼをしたら行方不明になっていたんですよ。
メメちゃんだってノリノリだったじゃん。
……うーん、いたた……。
あ、アマちゃん先輩が目覚めましたよ！
アマちゃん、大丈夫？
ハッ！
ここは……？
雨海の部屋だぞ！
あ……。
あ？
あんたたち！！
いい加減この屋敷から出ていきなさいよ！！
アマちゃん、どうしたのその口調……。
シャルちゃんみたいじゃん。
角田さん、その人はアマちゃん先輩じゃありません。
あの人形に入っていた霊がアマちゃん先輩に乗り移ってるんですよ。
え、メメちゃんなにその超理解力。
いやぁ、ちょっと尺の問題で……。
やいお前！
雨海を返すんだ！
そうですよ！
アマちゃん先輩を返してください！
ふ、ふふん。
返してあげてもいいわよ。
あんたたちがこの屋敷から出て行ったらね。
ねぇメメちゃん。
あのアマちゃん、カガちゃんに負けたこと覚えてないのかな。
その辺りの記憶は飛んじゃってるんじゃないですか？
そ、そんな……私たちの家が……。
急にやってきて酷いです……。
そんなの知らないわよ。
最初に住んでたのは私よ。
最近続々と屋敷に人が来ると思ったら、今度は私の部屋をネズミまみれにして、あんな人形に私を閉じ込めて……。
メメちゃん、あの部屋この霊の部屋なんだって。
それは災難でしたね。
もうあの部屋に人がいられるスペースはありませんよ。
知ってるわよ！
だから出て行ってほしいの！！
そんなこと言われてもねぇ……。
2日あげるわ。
そのうちに荷物まとめて全員出ていきなさい。
……交渉のお余地はなさそうですし、私たちは一旦リビングに行きましょうか。
～～～～～～～～～～～～～～～
皆さんどうしましょう！
変な幽霊さんに屋敷を乗っ取られちゃいます！！
明後日から「秘境の幽霊屋敷」にしなきゃいけないね……。
なぁもう面倒だしぶっ飛ばしちゃえば解決じゃないか？
大ちゃん！
あれはアマちゃん先輩の身体なんですよ！
傷つけちゃダメです！
カガは雨海をぶん殴ったんじゃないのか？
あ、あれはたまたま腕を伸ばした先にアマちゃん先輩がいただけです！
メメちゃん、黒魔術とかでなんとかならないの？
なりますよ。
なるのか。
あの幽霊をアマちゃん先輩から分離させるのは簡単ですよ。
でも、また同じように憑りつかれても面倒じゃないですか。
え、じゃあどうすれば……。
封印、しちゃいましょう。
ふういん？
魂を物に閉じ込めて、もう二度とそこから離れられなくするんです。
例えば……木とか石とかお風呂の蓋とか。
で、でもそれはちょっと幽霊さんが可哀想な気がします……。
まぁ、でも今アマちゃんが乗っ取られてるし、今後のことを考えて封印がいいのかな……。
メメちゃん、封印ってどうやってやるの？
難しい？
いやですね、角田さんが一番得意じゃないですか。
え？
以上。
