法事でじっとしててね

 

 

 

 

ねぇ大ちゃん。

 

んあ。
なんだ角田。

 

 

大ちゃんって、30分とかじっとしていられる?

 

 

見くびるんじゃないんだ。
こちとら50分の授業を1日6セット受けてるんだぞ。

 

 

 

そっか、それは失礼。

 

 

でもさ、学校とは違って、本当に興味なくて、大切なのかも分からない行事だったらどうかな?

 

 

なんだそれ、そんなのあるのか。

 

 

まぁ、子供にとって大人に連れてかれる行事って大体そんなもんだけどね。

 

 

最近法事があってさ。

親戚の子供とかはもう動きたくてうずうずしてたよ。

 

結果いい子にしてたけどね。

 

 

ほうじ?
なんかわけわかんなそうだな。

 

 

 

法事は親族が亡くなってから、決まった定期で集まってお経を上げる行事だよ。

 

故人の供養が目的なんだけど、実際に僕達がすることは、お坊さんがお経を上げてる間じっとしてることなんだ。

 

 

ほう。
別にYouTubeとか見てたらいいんじゃないか?
暇そうだし。

 

 

そういうわけにはいかないんだよ。

 

僕も詳しく知らないからあんまり言えないけど、なんとなく大人しくしてなきゃいけないんだ。

 

いや、というか、お坊さんを読んでお経を上げてもらってる立場なんだから、邪魔するようなことはしちゃだめだよ。

 

 

大ちゃんは我慢できる?

 

 

まぁ、別に終わりが決まってるなら我慢できるぞ。
あたしもそこまで子供じゃないんだ。

 

 

そっか、それなら安心。

 

 

いつか僕が死んだあとに法事があると思うから、その時はじっとしててね。

 

 

その時あたしがいくつになってると思ってるんだ。
なめるんじゃないんだ。

 

 

以上。