ねぇホノちゃん。
なによ。
ちょっと独り言を言いたいんだけど。
……なに?
独り言を言いたいんだ。
なんで私に言うのよ。
勝手に言ってればいいでしょ?
いや、そういうわけにもいかないじゃん。
こういうのは協力しなきゃ。
またよく分からないこと言ってる……。
……仕方ないな。
ホノちゃん、ちょっと見てて。
独り言とはなにか教えてあげる。
…………。
お、メメちゃん!
いいところに。
角田さんとホノちゃん。
何話してるんです?
ねぇメメちゃん。
僕、独り言を言いたいんだけど。
……???
苺々も分かってないじゃない。
……!!!
分かりました……!
分かりましたよ角田さん!!
え、わかるの!?
……じゃあ、メメちゃんからどうぞ。
角田さん!!
お願いします!!
パスワードを教えてください!!
じゃないと……あの子は……。
ホノちゃんの命は……。
…………。
メメちゃん、分かってるでしょ。
僕が立場上それを教えられないことくらい。
でも、角田さんの大切な家族でしょう!?
立場がなんですか!
家族よりも大切なんですか!!
…………。
……大切なものなんて、その時その時で変わるなんてよくあることだよ。
今、僕がここにいる限りは何があってもパスワードを言うわけにはいかないんだ。
そ、そんな……。
…………。
メメちゃん、今から言うのは独り言だよ。
パスワードは数字8桁。ホノちゃんの誕生日だ。
2022年09月02日……。
……!!
角田さん、どうして……?
別にメメちゃんに教えたわけじゃないよ。
僕の独り言をメメちゃんが勝手に聞いて、なぜかホノちゃんの方に向かっていくだけ……。
僕には関係ないことだよ。
……!
ありがとうございます!!
はい、カット。
ありがとうメメちゃん。
気持ちよく独り言が言えたよ。
お安い御用です。
またやりたくなったら言ってください。
……なによこれ。
以上。