あ、メメちゃん。
ちょうどいいところに。
あれ、角田さん。
何しているんですか?
不要な家具を処分しようと思ってね。
この木の板を割ったらコンパクトになるんだけど、さすがに僕の力じゃ割れなくてね。
ハンマーもないし、ちょっとメメちゃん割ってくれない?
ああ、そういうことですか。
いいですよ。
(バキッ)
はい、どうぞ。
おお……。
素手でベッドの骨組みが真っ二つだ……。
流石メメちゃん。
常識外れの怪力だね。
むしろ家具が弱すぎるんじゃないですか?
こんなの魔界で販売したらクレームものですよ。
まぁ、女の子の力で折れるものは家具としては弱いだろうからね。
でも、こっちじゃ大人の男でも折るのは難しいからいいんだよ。
図らずも、異世界転生物みたいな活躍ができて私は嬉しいです。
メメちゃんは魔界の基準では普通なの?
いやー……か弱い方ですよ。
デーモン系になら4歳の子にも腕相撲で負けます。
魔界って中々底知れないとこなんだね。
気軽に握手したら腕がなくなっちゃいそうだ。
でもメメちゃんは屋敷のものをうっかり怪力で壊したりしないよね。
そりゃまぁ、加減していますからね。
実際壊したことも何度もありますが、その度に黒魔術で直しています。
壊してるんかい。
じゃあよりメメちゃんに近づくのが怖くなっちゃうよ。
今でさえその角に刺されるからあんまり近くに立てないのに。
大丈夫ですって。
角田さんも壊れたら直してあげますよ。
そうじゃないんだよ。
一度でも壊されたくないんだよ。
あ、そういえばこの前……。
ねぇアマちゃん。
アマちゃんの握力がどのくらいか知りたいから、僕の手を握ってみてよ。
暇なんですか?
嫌ですよ。
今忙しいんですから。
そんなこと言わないでよ。
……ああ、行っちゃった。
……まぁメメちゃんでもいいか。
あれ、角田さん。
メメちゃん先輩に御用ですか?
あ、カガちゃん。
カガちゃんでもいいんだ。
ちょっと僕の手を思いっきり握って。
握力がどのくらいあるか知りたいんだけど。
良いですよ。
…………。
そっか……僕はあのとき命拾いしてたんだ……。
以上。