ねぇアマちゃん。
僕の夢の話聞いてくれない?
夢? 夢ってドリームの方ですか?
どっちもドリームだけどね。
僕が話すのは寝てるときに見る夢の方。
ああ、どうでもいい方ですか。
そう。
僕とおじさんの大物有名人が外を歩いてたら雨が降ってきたんだ。
ああ、ありますよね。
なんの疑問も持たずに有名人と行動してること。
で、僕たちは傘を持ってなかったからその辺のお店で傘を借りようと思ったんだよね。
普段なら絶対にしないだろうけど。
大物有名人に気を遣ったのか分からないけど、僕がお店の人に「傘を貸してくれませんか」って言ったら大物有名人に怒られたんだよ。
え、急ですね。
どうしたんですか。
「お前が前に出ると年上としての俺の面目が立たないだろ」って言われて。
「ああ、確かに」と思って目覚めた。
……え、終わりですか。
何がすごいんです?
夢ってさ、100%自分に作られたものじゃん。
つまりその大物有名人の思考も僕が作り上げたものなんだよ。
それもすごいと思うんだけど、僕は夢で指摘されて納得したってことが一番すごいと思う。
自分で自分に指導してるわけだから。
いやー、どうですかね。
「こういうことしたらこの人ならこうするだろうな」って偏見でもあったんじゃないですか?
その人に対する偏見はないんだよ。
だってあんまりよく知らない有名人だもん。
見た目くらいしか知らない。
で、色々考えてたんだけど、この夢って別にこの大物有名人でなくてもよかったんだと思う。
どういうことですか?
この人のこの発言を見る限り、前職にいたおじさんの性格だと思うんだよね。
要は大物有名人の見た目に前職のおじさんの性格っていう夢の適当さ加減が表れた例なんだよ。
僕の頭の中の「ファイルフォルダ:おじさんの見た目一覧」と「ファイルフォルダ:おじさんの性格」の中から無作為に選ばれたものじゃないかな。
私はそんな性格がちぐはぐな人物が出てきたことはないですけどね……。
それって単に角田さんが「他人ってこんなものだろう」って思ってるからじゃないんですか?
思ってないって。
にしても適当すぎだよ。
だから、いつかメメちゃんの見た目でカガちゃんの性格の人が表れちゃうかもしれない。
あの二人、性格が似通ってるので気付きませんって。
ありゃ。
以上。