たまには夜風にでも

 

 

メメちゃん、出かけたいのでついてきてくれますか?

 

ああ、門限のルールがありましたね。
いいですよ。ちょうど暇ですし。

 

ありがとうございます。

 

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それで、なにか買うんですか?
今更ですが、私が買ってきても良かったんですけど……。

 

いえ、ちょっと夜風にあたりたかっただけですよ。
せっかく雨が止みましたからね。

 

なんだ、お散歩ですか。
アマちゃん先輩がお散歩なんて珍しいですね。

 

そんなこともありませんよ。
ちょっとした気分転換です。

 

 

 

 

 

…………。

 

 

 

 

 

 

 

アマちゃん先輩、なにかありました?

 

え。
いえ、なにもありませんよ?

 

……ならいいですけど。

 

 

 

 

 

 

 

土の匂いがしますね。

 

 

そうですね。
雨が降ったのでいつもより強く感じます。
夏の匂いかもしれませんよ。

 

もう6月ですもんね。
梅雨も始まりましたし。

 

 

 

 

 

 

…………。

 

 

 

 

 

アマちゃん先輩、やっぱり元気がないように見えますよ?

 

本当に気にしないでください。
ちょっと寂しいだけなんですよ。

 

……と言いますと?

 

ほら、小さい頃の夜って特別な時間だったじゃないですか。
もうすぐ夏も近づきますし、その頃の気持ちになれないかなって思ってたんですけど……。

 

やっぱりダメですね。
もうあの頃には戻れないんだと思うとちょっと寂しかったんです。

 

 

水を差すようで申し訳ないんですが、私は悪魔なので夜にそれほど特別感はなかったですね……。

 

そういえばそうでしたね。
でも、夏祭りとかは夜でしたし、そういう非日常を味わえる印象がありませんか?

 

あの、私小さい頃に夏祭りに行ったことがないので……。

 

 

メメちゃんは結構特別なタイプだと思いますよ。

 

 

 

アマちゃん先輩、今日はちょっぴりセンチになりたいんですか?

 

そういうわけでもないんですけどね。
なんだか調子が出ないだけですよ。

 

 

 

大丈夫です。
そんなに寂しがらなくても角田さんはもうすぐ戻ってきますよ。

 

 

 

なっ……!
違いますよ!!

 

 

まったく、分かりやすい先輩なんですから。

 

 

 

以上。