暗い神殿。四つの像。三人の法師と私。
像はそれぞれ扉となっており、選ばれた者のみが像を動かすことができる。
私は青龍の像を動かすことができ、今は法師達に動かす方法を教えてもらっていた。
手を合わせて目を閉じ、滑るように左に移動しながら右を向く。
腕をゆっくりと開き、状態を左に向かせる。
左手の小指と親指を立て、そこに右手を重ねる。
すると、像が鈍い音を立てて動き出し、一本の狭い通路が現れた。
中には緑青で汚れた杯が置かれているのみで、他はひんやりとした石室に埃を落としているのみであった。
杯は何か黒い液体で満たされており、何かの肉の塊がところどころに浮いていた。
私が石室を出たとたん、像がまた音を立てて元の位置へ戻った。
私を含む四人を統括する人物が一人いた。
紫の和装を着崩しており、藍色の髪をまとめあげ、紅の簪で留めている。
また、簪よりも強い紅色で唇を染めており、真っ白な肌の中でひときわ大きな存在感があった。
花魁のようにも見えるその女性は、私達に
「この中のものは決して他の者に見せてはいけない。杯の中にはこの世で最も汚れていて尊く、危険で重要なものが入っているから」
と言った。
そしていつか、一人の盗人が神殿を訪れた。
盗人は玄武の法師を刺し殺し、神殿内の宝物を出すように言った。
しかし、私達は女性の言っていたことを守るため沈黙していた。
女性が現れ、盗人に言った。
「いいだろう、見せてやるよ」
女性が指を鳴らすと、四つの像の間に中央の通路が現れた。
私が像を動かして現れた通路とは違うものだ。
盗人は私たちを警戒しながら通路の奥へと消えていった。
瞬間、その通路の扉が閉まる。
女性はにやりと笑いながら言った。
「また一つ、宝物の糧になったね」