ある男が篠笛を趣味として始めた。
彼はフルートの経験があり、始めるにあたっての障害はそれほど多くはなかった。
人に篠笛のことを話しても、良い印象を持たれることが多く、男も篠笛のことを話すことが好きになり、ますます練習に励むようになった。
そのうち、自分の同僚などを相手に演奏するようになって、褒められる味を知り、男も自身の上達を実感していた。
ある時、男は篠笛の奏者の集まりがあることを知った。
彼は迷うことなく参加することを決めた。
そして、その場所で男は圧倒された。
他の奏者の実力、技術に。
そこで男は、自身が本当に好きなものは篠笛を演奏することではないことに気づいた。
男は演奏に参加したその日、篠笛を捨てた。