タイトルを見て「あーあ、遂におかしくなったな」と思わないでください。
この言葉は「ドラえもん」から拝借したものです。僕の心の叫びではありません。
「ドラえもん」に登場する「魔法事典」という道具は、書きこんだ魔法を自由に使うことができます。例えば「スマホの充電を100%にするには「アジャラアジャラ」と唱えながらがに股で踊る」と書いたならば、この行動を起こせばたちまちスマホの充電が100%になるのです。尊厳は失いますが。
で、この道具の効果が適用されるのは書いた本人だけではないのです。
だから、スマホの充電が3%になって発狂した人がたまたま「アジャラアジャラ」と言いながらがに股で踊ったならば、その人のスマホの充電は100%になります。
つまりは、魔法の発動条件が簡単であればあるほど他の人が知らずに発動させてしまうのです。
例えば「自分の心臓を止めるには「ハイ!」と唱える」と書いたらもう大変。日本中で原因不明の心臓麻痺で死んでいく人が続出します。
Lが動き出しそうですね。
そんなわけで、のび太は自分以外の者が魔法を使えないように複雑な詠唱を書きこんだのです。
それが「アブタラカブダラピンポンパンノポンキッキビブデバブデブー」なのです。
ご理解いただけたでしょうか。
長くなりましたが、今回はその「魔法事典」を手に入れたら何を書くか、という話です。
皆さんならは何を書きますか?
大きく分けて「自分の叶えたいこと」と「発動条件」の二つを書くことになるんですが、考えて見るとこれが割と楽しい。
まぁ、「自分の叶えたいこと」は人それぞれなのでよろしい。
しかし、「発動条件」に関しては知らない人が使えないようにすると同時に、自分がしっかりと覚えておけるものでなければなりません。
ボマーで有名な彼の能力である「命の音(カウントダウン)」は割と複雑ですよね。
それに、「人に自分の能力を説明する」ことを発動条件にしていることもあって忘れることもないでしょう。
ただ、今回に関しては複雑であればいいというわけでもありません。
知られてはいけないんです。
なぜなら、この「魔法事典」にかかればイカルゴすらもボマーになれるから。
敵に能力を説明し、万が一逃げられたときが非常に厄介です。
ゲンスルーのように「ほう、この能力を知って生きている奴はそうはいないんだが……」と、能力を知っている奴を処理していけば問題はないんですが。
……ということを踏まえて考えていきましょう。
まず、僕が叶えたいのは「現金二億円を目の前に出す」です。
すでに夢がありませんね。
というか、そのお金を使って買うものを魔法で出せば――例えば「ソファを出す」とか――にすれば楽でいいんじゃないか、と思うかもしれません。
しかし、貪欲な僕の願いを全て叶えようと思ったならば魔法事典一冊では足りなくなってしまいます。
この世はお金がありゃ大抵なんとかなるんだから。……という考えから、この願いにしました。
金額に関しては適当です。
で、問題の発動条件ですね。
これは人前でやらないことを前提に、めちゃくちゃ恥ずかしいものにしてやります。
これを思い付きでやった変態は二億円を受け取る権利があります。だって可哀想なんだもん。
では、発動条件(↓)
夜中の3時33分、足にトレーナーの袖を通し、腕でズボンを履き、頭にパンツを被る。その状態で大きく足を開き、頭の上で手を合わせる。そして、真顔のまま以下の呪文を唱える。
「かみさまーーー! 僕は人並みの努力もできないクズですぅ! そんな僕にお金をたーくさんください! う~~~~~~~~ん………………わっしょい!」
この「う~~~~~~~~~ん」のタイミングで頭を大きく振り、「わっしょい」のタイミングでパンツをできるだけ遠くに飛ばす。
思ったより飛んだなら「吉だぁーーーー!」と叫び、あまり飛ばなかった場合は「凶だぁーーーーーーー!」と叫ぶ。
……はい、これで二億円はあなたのものです。
というかこれ、何かしら間違って発動しなかった時の代償が計り知れないですね。
ぽつんと部屋に取り残されたら死にたくなるでしょう。
しかもこれ一日一回しかチャンスがないですから。最低でも一日、その気分を背負って生きていく必要があります。
まぁ、リターンに比べりゃ微々たるものですけどね。
みなさんもやってみてはいかがでしょうか。
もしかしたら僕はもう既に「魔法事典」を持っているかもしれませんよ?
責任は一切持ちません。
以上。