物語をかき乱してみたい欲

物語って所謂「お約束」といえる定型パターンがありますよね。

そのパターンに従って王道を貫くもよし、裏切って奇をてらうのもよし。

いかにそのパターンを上手く使うかで内容の面白さも変わってきます。

 

ただ、もし自分が登場人物だったならその「お約束」をぶっ壊したいんですよね。

そういう欲望を抱えて毎日を過ごしています。

 

 

 

 

例えば、「甲子園をかけた試合の直前、主人公の親友(野球部のメンバーではない)が暴力事件を起こして停学。親友は周りに白い目で見られていた。しかし実は、主人公を負傷させようとしていた他校の不良グループとたった一人で闘っていたのだった」

って話だったなら、「実は」の部分を知った主人公が親友に会いに行く場面があると思います。

そして親友は白状し、「お前らの夢を壊そうとするあいつらが許せなかったんだ……!」と涙を流し、なんやかんやあってそれは解決。大会では観客席から親友が応援しているのを見て主人公がホームランを打つ。

 

って、流れがつかめますよね。ここで試合に勝つか負けるかまでは分かりませんが、「主人公が親友に会いに行って親友が白状する感動シーン」は欠かせないですよね。

ここで解決しないとモヤモヤするし。

 

僕がこの登場人物だったらこの流れを完膚なきまでに叩き壊します。

では、主人公が会いに来たことをシミュレーションしてみましょう。

ここでは僕が親友ポジであると考えてください。

 

パターン1「完全否定」

主人公「おい角田!」

角田「……なんだよ。甲子園近いんだろ。僕なんかに構ってないでさっさと練習に戻れ」

主人公「今はそんなことはどうでもいい! 俺は――」

角田「どうでもよくないだろ!」

主人公「っ!」

角田「……いや……なんでもない。……もう僕はほっといてくれ」

 

踵を返す角田の肩を主人公が掴む。

角田「なんだ、離せよ」

主人公「お前、俺達を助けてくれたんだろ?」

角田「っ!」

主人公「Aから聞いたよ、俺たちの出場を妨害しようとしてたグループとケンカした奴がいるって」

角田「…………」

主人公「それって、角田。お前だろ?」

振り向く角田。

 

角田「……全然違うけど?」

 

主人公「え?」

角田「僕は不良グループのカツアゲにあって、ビビッて打ち出したパンチが不良の顔に当たっちゃっただけ。それをいいことに被害者面されて学校にチクられ、停学くらった挙句にお金も取られたの」

主人公「お、おう」

角田「正直忘れたいことだったのに、どうして今になって言ってくるの? 君も僕をいじめたいの?」

主人公「い、いや……ごめん」

角田「じゃあ、僕はまだ謹慎がとけてないから帰るね」

 

~Fin~

 

みたいな感じでね。

これ完全に空気ぶっ壊れたでしょ。絶対次の試合負けるでしょこれ。

まだこれはマイルドなパターンです。

 

 

 

パターン2「狂う」

(前略)

主人公「お前、俺達を助けてくれたんだろ?」

角田「っ!」

主人公「Aから聞いたよ、俺たちの出場を妨害しようとしてたグループとケンカした奴がいるって」

角田「…………」

主人公「それって、角田。お前だろ?」

振り向く角田。

 

角田「うるせぇーーーーーーーーーー!!!!!」

 

主人公の頬をぶん殴る角田。

 

主人公「……え?」

角田「あぴゃぴゃぺぺぺぺぴゃぴゃぴゃwwwwww」

笑顔でモンキーダンスをする角田。

 

主人公「え……?」

角田「あ、お茶飲む?」

そう言い、呆然とする主人公の右ひじにコーラをかける角田。

べとべとになる腕。

 

主人公「え、何? 何?」

角田「さらにもう一発!」

主人公の腹部にもう一撃加える角田。

 

~Fin~

 

これは直接攻撃を加えた後に狂うパターンです。

相手が混乱の途中で好き勝手できるのが楽しいですね。

これ書いた作者も狂ってる可能性が疑われますね。

 

 

 

パターン3「ホラーに急旋回する」

(前略)

主人公「お前、俺達を助けてくれたんだろ?」

角田「っ!」

主人公「Aから聞いたよ、俺たちの出場を妨害しようとしてたグループとケンカした奴がいるって」

角田「…………」

主人公「それって、角田。お前だろ?」

振り向く角田。

その目には恐怖を浮かべていた。

 

角田「あ……あ……」

主人公「え、何」

角田「やっぱり次は僕だったんだ……あの『呪い』はまだ残って――うっ」

腹を押さえてうずくまる角田。

主人公「おい。角田、どうした!」

 

突然笑い出す角田。

角田「はは……じゃあ、僕の次は君だね。『呪い』は一番近くにいる者に伝染する……ほら、あそこでカカハミ様も君の事を見てるよ」

主人公「カカハミ様? いったいなんの話だ」

角田「……うぅ。……君は……捕まらないように、気を付けて……」

 そう言い、こと切れる角田。

主人公「おい、角田……? おい! っ!?」

 

その瞬間、背中に視線を感じて戦慄する主人公。

振り向くと、そこには地面に着くほど髪の長い女が身体を揺らしながらこちらに向かって走っていた。

 

~Fin~

 

はい、主人公はもう甲子園にはいけません。

観客席にいるのは親友ではなくこの「カカハミ様」でしょう。

微笑ましいですね。

 

 

僕にお約束を求めるとこういう目に遭います。

皆さん、十分注意するように。

 

 

 

以上。