心の中のメメちゃん

 

 

か、角田さん……。

 

ん、どうしたのカガちゃん。

 

私、今日はいつもと違うように見えませんか……。

 

 

 

あー……。

(なんだろ……)

 

 

(そういえばさっき、メメちゃんがこんなこと言ってたな)

 

 

角田さん。
さっきカガちゃんに私のリップをあげたので、また角田さんに見せに来ると思います。
その時は迷わず「新しいリップ? 可愛いね」って言ってあげてください。

 

 

 

 

…………。

 

 

 

 

新しいリップかな。

可愛いね。

 

 

そ、そうですか!?
すごいですね角田さん。

 

 

メメちゃん先輩にもらったんです。
こういうおしゃれも、これからしていきたいです!

 

 

そっか、でも――

 

 

(はっ、そういえばさっきメメちゃんはこうも言ってたな)

 

 

女の子に「化粧をしなくても可愛い」はあんまり誉め言葉になっていません。
良かれと思って言ってるとモテませんよ。
少なくとも、頑張ってメイクした子に言ってはいけません。

 

 

 

 

…………。

 

 

……やっぱりカガちゃんは素材が良いからちょっとしたメイクでも引き立つね。

 

 

 

ええ!?
角田さん、嬉しいです!
もっとがんばりたくなっちゃいます!

 

 

角田さん、ここで「この子は僕のことが好きなんだ」と勘違いしてはいけません。

 

 

 

 

(……え、僕こんなこと言われてたっけ?)

 

 

 

 

あれ、いつ言いましたっけ。
私は覚えてませんね。

 

 

 

 

(いや会話できるのおかしくない?)

 

 

 

……角田さん?

 

 

 

ああ、カガちゃん。

 

似合うんだけど、学校もあるし、程々に楽しんでね。

 

 

 

はい!
ありがとうございます!

 

 

 

ふむ、65点の受け答えってところですかね。

 

 

 

 

(これ、もしかして僕の心が作り出したメメちゃん?)

 

 

以上。