ねぇアマちゃん。
はい? どうしたんですか?
これの臭いを嗅いでくれない?
なんですかその布は。
嗅いでくれって言われると途端に嫌になりますね。
角田さんがなにやらキモいことを言っていると聞いて飛んできました。
あ、メメちゃん。
メメちゃんでもいいよ。
ちょっとこれ嗅いでくれない?
いやだからそれがなんなのか分からないと嫌ですよ。
これ、僕の枕カバーなんだけどさ。
めっちゃくちゃ臭くて……。
ちょっと確かめてくれない?
聞いたら余計嫌になりましたよ……。
なんでそんなに臭いんですか?
定期的に洗ってます?
まぁ、たまに洗うよ。
でも最近なんだかおじさんの臭いがしててさ。
なんか、こう。鼻にツンと来る感じの。
いやもう自分でよく分かってるじゃないですか。
なんですか、確かめるって。
どれどれ……(クンクン)
あ、メメちゃんダメですよ!
病気になっちゃいます!
酷いこと言うね。
うーん……。
別に臭くはないですね。
おじさんの臭いってのもよくわかりません。
え、本当?
なんか鼻にツンと来ない?
はい、別に。
確かに角田さんの臭いはしますが。
本当ですか?
花粉症で鼻が詰まってるんじゃないです?
ならアマちゃんも嗅いでよ。
嫌ですねぇ……。
(クンクン)
どう?
……確かに、別に言うほどの臭いじゃないですね。
鼻にもツンと来ません。
自分の枕の臭いって自分では臭く感じるものではないですか?
そうなのかなぁ……。
まぁ、ひとまず僕からおじさんの臭いがしなくて安心したよ。
そのおじさんの臭いって、おじさんに失礼ですね。
……ということは、みんなも自分の枕を臭いと感じるんじゃない?
そういうことになりますね。
現に枕の臭いが気になるときはありますし。
人に嗅いでもらったことがないので何とも言えませんが。
……僕たちの枕もローテーションで使えば全く臭く感じないんじゃない?
例えば今日は僕はカガちゃんの枕を使う。
アマちゃんは僕の枕を使う。
メメちゃんはアマちゃんの枕を使う。
アマちゃんは大ちゃんの枕を使う……。
って感じ。
発想が気持ち悪いですね。
女の子に提案することじゃありませんよ。
私は構いませんよ。
今日から交換しますか?
……メメちゃんの枕はなんかベタベタしててやだ。
ガーン
以上。