さて、今日は有休をとったからカガちゃんの授業参観に向かいます。
僕としては小学校に入るのは十数年ぶりです。
それでは、行ってみよう。
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周りを見るとやっぱりお母さんばかりなのでちょっと場違い感が否めません。
僕は正門から入ったのですが、守衛さんはいませんでした。
僕は見ていませんが、聞く話どうやら裏門に不審者がいたらしく、力が強いので数人がかりで取り押さえているとのことでした。
世の中物騒ですね。
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カガちゃんの教室は4年〇組らしいです。
ちょうど休み時間っぽいですね。
お母さんたちにガン見されてるので多少いづらいです。
若い男は浮くね。
お、カガちゃん発見。
友達と話してるみたいだし、クラスに馴染めててよかった。
あ、角田さん。
やっほー、カガちゃん。
……カガちゃんが「角田さん」って呼ぶから隣のお母さん方にぎょっとされました。
そうだよね。ふつうは「お父さん」とか「パパ」とかだもんね。
あ、授業が始まるようです。
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国語の授業とのことですが、授業で書いた作文の発表みたいです。
ただ、テーマが「私のお父さん、お母さん」らしいです……。
あ、カガちゃんが手を挙げた。
(じゃあ、賀々巳ちゃん、お願いします)
はい。
「私のお父さん、お母さん」角田賀々巳。
……ゴクリ。
私にはお父さんもお母さんもいません。
「角田さん」というおじさんと、二人の先輩と暮らしています。
……そっか。カガちゃんから見たら僕もおじさんだよなぁ……。
角田さんはいつも苦しそうに働いています。
「辞めてやる!」といつも言っていますが、毎朝早く起きて真面目に働いています。
嫌なことでも頑張って続けられる角田さんを、私は尊敬しています。
……おっと、涙が。
アマちゃん先輩はいつもゴロゴロしています。
「ちゃんとしなさい」といつも言っていますが、アマちゃん先輩もちゃんとしなきゃいけないところが多いと思います。
でも、アマちゃん先輩はとても優しく、私は怒られたことがありません。
いつも私に寄り添ってくれる、お姉ちゃんのような人です。
メメちゃん先輩は恐ろしい悪魔です。
ここだけ聞くとめちゃくちゃ悪口みたいだね。
私がお腹を空かせていると、角田さんに「ウーバーイーツをしよう」と言ってくれます。
怖い雰囲気がありますが、メメちゃん先輩もすごく優しい悪魔です。
無茶なことを角田さんに言って困らせたりもする、おちゃめな一面もあります。
私にはお父さんとお母さんはいません。
でも、今住んでいる屋敷の家族といられて、すごく幸せです。
(パチパチパチ……)
……グスッ……カガちゃん。
あ、やべ。
泣いてたら周りのお母さんたちがドン引きしてる。
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……っていう感じだったよ。
角田さんいいですね~。
私も聞きたかったです。
アマちゃん先輩も号泣しそうですね。
ね。
頑張ったカガちゃんに何かしてあげたいですね。
そうですね……。また考えておきましょうか。
そういえば、アマちゃんは授業参観とかないの?
中学校ではないですねぇ……。
角田さん、私の高校ではありますよ!
メメちゃんの学校はSAN値に自信がないので行きません。
以上。