ある記憶力の低い女がいた。
病気という程ではなく、うっかり忘れが人より少し多い程度だった。
それでも彼女はその忘れっぽさに悩んでいた。
物忘れの良さはストレスの軽減に繋がると周りには励まされたが、仕事のミスの原因をうっかり忘れ、もう一度同じミスをしてしまう等、ストレスの源になっていると思えて仕方なかったのだ。
彼女は記憶能力の強化に努めることを決めた。
毎日日記を書くこと、記憶の仕組みを知ること、魚を多く食べることまで思いつくことはすべて行った。
強い意思をもって始めたため、それは長く続き、心なしかうっかりみすや物忘れが少なくなったように思えた。
ただ、日記を書いている時はいつも頭の中にモヤモヤと得体の知れないものがいる気がしていた。
そして5年後、仕事も忙しくなったおかげで記憶能力の強化の努力を全く行わなくなってしまった。
しかし、ミスは少ないままであったため、ようやく人並の記憶能力を持てたと女は安心しきっていた。
その三年後、彼女は最も大きなミスをする。
それも自身のうっかり忘れでだ。
彼女は悩んだ。どうして私はこんなにも記憶力がないのか、と。
彼女は記憶能力の強化に努めることを決めた。
毎日日記を書くこと、記憶の仕組みを知ること、魚を多く食べることまで思いつくことはすべて行った。
強い意思をもって始めたため、それは長く続き、心なしかうっかりみすや物忘れが少なくなったように思えた。
ただ、日記を書いている時はいつも頭の中にモヤモヤと得体の知れないものがいる気がしていた。