どうも、小説というもの自体が大好きです、角田です。
同じく、文学少女代表、アマちゃんです。
アマちゃんも結構小説読んでるよね。
最初はアホの子設定だったのに。
まぁ、その印象を払拭したくて読んでる感もありますね。
しかもジャンル問わず色々読んでてさ。
その中でも好きなジャンルってあるの?
よく読むのはミステリーです。
有名どこでいうなら、「十角館の殺人」や「すべてがFになる」、「クビキリサイクル」とか読みましたね。
ミステリーの中でも色々読んでるんだね。
物語には「伏線」ってあるじゃん。
ミステリーには謎解きにおいてほぼ不可欠なものだよね。
そうですね。
人物のセリフだったり、一見普通の情景描写が後々の重要な伏線になってる場合も多くありますね。
さりげなく隠れていればいるほどカタスシスが大きくなる気がします。
そう、今回注目するのはそこなんだよ。
僕が、小説が漫画やアニメとかより優れてると思っている点はその「さりげなさ」なんだよね。
例えば情景に伏線が隠れている場面があるとしよう。
小説では、その描写だけじゃない他の描写の中に紛れ込ませることができるよね。
うーん。
まぁ、分かりますけど、それは漫画やアニメでもできることじゃないです?
もちろん、風景画の中に紛れ込ませたりすることはできるよ。
ただ、重要なのは「確かに確認したけど見逃してしまう」っていう程度のさりげなさなんだ。
漫画やアニメだとその伏線をある程度ピックアップしないと見逃される可能性があるから、ミステリーものの漫画とかだと不自然に何でもないものに焦点が当てられてる場合が多いように感じるんだよね。
あー。
ただの風景画だと見逃してしまうけど、ピックアップすると伏線だとばれてしまうって結構バランスが難しいんですね。
確かに、小説原作のドラマとかで不自然なカットやセリフがあったら「あー、これが今回重要になってくるんですねー」ってメタ的な視点に立ってしまう自分がいます。
一方、それを逆手に取ったミスリードとかはそれはそれで視覚的な媒体ならではの良さだとは思うけどね。
小説だと、それをむやみにピックアップする必要がないんだ。
これは言語の線状性と絡んでくる話だけど、必ず読者は筆者の読ませたい手順で視点が動いていくからね。
ある程度視点の自由が利くアニメ、漫画、ドラマと違って全ての情報を飲み込ませた上で取捨選択をさせるからカタルシスが大きくなりやすいんじゃないかな。
「ミスリードなしの何気ない伏線」のちょうどいいさりげなさは小説って媒体が優れている点だと思うよ。
私たちの視点はほとんど必ず1ページ目の一行目の一単語目から始まるって決まってますからね。
視覚的な刺激が少ない分、「これは伏線だ」っていう思考の網から外れていきやすいのも納得できます。
それともう一つ、小説には良いところがあるよ。
それは「他人との情報を共有しやすい」ってとこ。
例えば……そうだな。
アマちゃんが去年見たっていう「君の名は」に関して一つ豆知識を言うよ。
え、急にどうしたんですか?
小説のいいところは?
まぁ、聞いてよ。
監督の新海誠さんは昔古典文学を学んでたこともあって、昔の日本の概念が割と登場するよ。
ああ、「むすひ」とかですよね。
それがどうかしたんです?
そうそうそういうの。
その「むすひ」のテーマが背景でも繰り返し登場してるって知ってる?
……?
どういうことです?
これは大学の教授が教えてくれたんだけど、三葉ちゃんが山を走ってる場面の後ろに双体道祖神が描かれているんだ。
縁結びとか恋愛成就とかの意味合いが強いだろうけど、この物語佳境で登場させるのは粋な演出だよね。
…………。
覚えてません。
そう、そういうこと。
視覚的な媒体の場合、自分の焦点と相手の焦点が違った場合、その場面のことを話しても通じないことがあるんだ。
それこそ細かいところを見てたらそれは往々にしてありえることだよ。
でも、小説はそういう細かい表現すらも文字でなぞってるわけだから、伝えたい文章を言えばなんとなく伝わる場合が多いと思うんだ。
小説の人物紹介で使った単語をそのまま使って犯人を匂わせる演出と似てますね。
「クリーム色のリボンを付けた可愛らしい人だ」って紹介されて、物語佳境で「犯人がいるであろうパーテーションからクリーム色のリボンが見えた」とか。
うーん。まぁそういうこと。
一回飲み込んでるだけあって、忘れてても思い出しやすいんだよ。
まぁ、今回はアマちゃんが絶対覚えてないだろうなってことで「君の名は」の道祖神を例に挙げたけど、あれを小説で表現しようとなると至難の業だからね。
アニメならではの粋な演出でしたって話くらいにしといて。
はい、なんとなくわかりました。
なんだか伝えるこっちの思考の方がぐちゃぐちゃなんだけど、それはアマちゃんの方で何とかまとめといて。
作者の思い描いてる物語の情報が100、小説は与える情報が150、アニメは170程だとします。
アニメの場合、170の内の130くらいの情報から100の物語と認識するけど、小説なら150を全て自分の中に入れて100を作ると、そういう話ですね。
相変わらず飲み込む力はめちゃくちゃいいね。
ただ、これは所詮手法の違いの話で、どちらが良いとかではないってことは強調しておかなければならないですね。
小説はこの150の情報全てを自身の中で取捨選択しているから理解度が高まりやすいぞって魅力を伝えようとしているだけなんですよね。
そういうこと。
だんだん書いてた文章をまとめるのにアマちゃんが必須になってきました。
以上。