白やぎさんだけがまともなこの世界

 

白やぎさんから お手紙 ついた♪


黒やぎさんたら 読まずに 食べた♪


しかたがないので お手紙かいた♪


さっきの 手紙の ご用事なぁに♪

 

 

 

…………二日後…………

 

 

白やぎさんから お手紙 ついた♪


黒やぎさんたら 読まずに 食べた♪


しかたがないので お手紙かいた♪


さっきの 手紙の ご用事なぁに♪

 

 

…………二日後…………

 

 

 

白やぎさんから お手紙 ついた♪


黒やぎさんたら 読まずに 食べた♪


しかたがないので お手紙かいた♪


さっきの 手紙の ご用事なぁに♪

 

 

…………二日後…………

 

白やぎさんから お手紙 ついた♪


黒やぎさんたら 読まずに 食べた♪


しかたがないので お手紙かいた♪


さっきの 手紙の ご用事なぁに♪

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

………

 

 

 

 

……

 

 

 

白やぎさんはとうとう筆を置いた。

手紙の内容は大したことではないが、旧友である黒やぎさんから「さっきの手紙のご用事なぁに?」と何度も届けばだんだんと苛立ちの感情が大きくなる。

 

彼にとって、自分はすでに過去の友人となってしまったのだろうか?

 

白やぎさんの抱える鬱屈した感情が暴力性を帯びるのに時間はかからなかった。

 

 

しばらくして、白やぎさんは再び筆をとった。

 

手紙に書いたのは謝罪の言葉。

白やぎさんは粉末状の殺虫剤を同封し、黒やぎさんの返信が来るのを待った。

 

…………

 

………

 

……

 

白やぎさんから お手紙 ついた♪


黒やぎさんたら 読まずに 食べた♪

 

黒やぎさんの視界が突如暗転する。

猛烈な吐き気のせいで立っていられない。

 

 

もう二度と、黒やぎさんから手紙が来ることはなかった。

 

 

白やぎさんは、用意したもう一通の手紙を咀嚼し、涙を流しながら飲み込んだ。