地獄の十丁目:修羅場だ修羅場だしゅらしゅしゅしゅ

 

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この「地獄めぐり」も記念すべき十丁目です。

地獄は一体どこまで続くのでしょうか。今から楽しみですね。

 

 

突然ですが、皆さんは「修羅場」って体験したことありますか?

 

例えば、浮気現場で恋人と遭遇してしまった、とかそういうやつですね。

 

僕はありません。

 

……すいません。こんなタイトルを付けたくせに、今回の内容はそういう「普通の」修羅場じゃないんです。

どこか奇妙で、殺気は一切感じないながらも、独特の気まずさを孕んだ僕の体験を聞いてください。

 

あ、全て本当のことを言っているといろいろと問題が発生するため、町名のような細かい部分は少しだけフィクションを挟みます。

大筋は忠実に書きますので、地獄をふんわりとお楽しみください。

 

 

 

さて、これは昨日の話です。

 

夕方頃、一本のLINEが入ったところから物語は始まります。

LINEの相手は例のキャバ嬢(以下「リンダちゃん(仮名)」)でした。

 

いつもの営業LINEか、と思いながらも普通に返していました。

するとどうやら隣町のビアガーデンのような場所で飲んでいることを教えられました。

同伴の誘いかとは思いましたが、生憎今日は店が休み。

 

暇だったことも幸いし、ワンチャン狙って、友達に会いに行く感覚で、そのビアガーデンに行くことを伝えました。

快くOKしてくれたリンダちゃんに気分を良くし、僕はすぐにビアガーデンへと赴きました。

 

そして会場につき、リンダちゃんを探していると一組の男女に声をかけられました。

 

リンダちゃんと、30代の男性でした。

 

「友達と飲んでたんだ(笑) この人は凛之助君(仮名)だよ☆」

 

と、リンダちゃんから唐突な紹介を受けます。

 

「友達」とは言われたものの、彼の表情にある若干の苦笑いから(あ、この人、別の客か……)と、僕は状況を超速理解します。

 

リンダちゃんはなぜ僕がここに来ることをOKしたのでしょうか。

ここに来たことを早くも後悔し始めていた僕はとにかくこの空気を変えることにします。

具体的に言うと、「リンダちゃんとワンチャン」モードから「凛之助さんとも仲良くしよう」モードに切り替えたのでした。

 

リンダちゃんを置き去りに、僕と凛之助さんは会話を進めます。

すると、凛之助さんは彼女持ちで、別にリンダちゃんを狙っているわけではないことが判明しました。

最初に苦笑いを浮かべたのは、ワンチャン狙っているかもしれない僕の登場に、若干の罪悪感を感じていたためだと予想できました。

 

そうと分かればあとは気楽なものです。

「もうワンチャン狙っていない僕」と凛之助さん、それとリンダちゃんと楽しく会話して、お酒もガンガン飲んで気分がよくなっていました。

 

「え? これが修羅場?」と思っているそこのあなた。

安心してください。お待ちかねのセリフですよ。

 

 

 

本当の地獄の十丁目はここからだったのです……。

 

 

その後、酔っぱらった外国人の乱入や、酔っぱらった外国人の乱入、酔っぱらった外国人の乱入などがありましたが、さして問題もなく時間は過ぎていきました。

ここどんだけ外国人いるんだよ……。

 

 

そして、僕と凛之助さんが二回目の乾杯をしたとき、リンダちゃんの近くでやたらキョロキョロしているサラリーマンを発見しました。

 

僕が「?」を浮かべていると、リンダちゃんがおもむろに彼を紹介しだしたのです。

 

「角田君にも紹介するね☆ この人は竜太郎君だよ☆」

 

 

 

まさかの三人目。

 

まぁ、凛之助さんと僕は三人目には驚かなかったものの、竜太郎さんは思いっきり不機嫌な様子でした。

 

多少僕らと言葉を交わすものの、ずっとリンダちゃんに話しかけている様子は彼氏気取りというか、もしかしたら本当に彼氏なのかもしれないと疑うほどでした。

 

とにかく、この態度を見て僕と凛之助さんは苦笑いを浮かべるしかありません。

 

今なら分かるよ凛之助さん……僕が登場したときもこんな気持ちだったんだね。

 

結局、竜太郎さんの機嫌は戻ることなく、僕たち三人の努力もむなしく重い空気が流れていました。

 

なんだこれ。

 

一体どうすればいいんだ……とアルコールの回った頭で考えるも、竜太郎さんの機嫌を直す方法が一向に思いつきません。

凛之助さんも仕事の電話で席を離れてしまい、僕も絶体絶命でした。

 

もうだめだ。なんとか理由をつけて帰ろう……と思ったその瞬間、一筋の希望が僕のもとに訪れました。

 

 

 

 

 


warning!! warning!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酔っぱらった外国人、再び参戦

 

 

 

 

しかも超明るくていいやつそう。

執拗に僕に乾杯を求めてきたブラジル人のロドリゲス(仮名)は、僕のジョッキが空であることに気づくと、

 

「モウ イッパイ ノモウ!」

と僕を連れだしてくれました。

 

日本語が達者な彼はとても若く見え、その旨を伝えるととても喜んでいる様子でした。

「モウ 角田ハ シンユウ!」

と、ロドリゲスか人の心を持った巨人くらいしか言わないセリフを聞いた僕も嬉しくなりました。

 

その後ロドリゲスと何度も乾杯し、ハンドシェイクも教えてもらって、帰り際に電話番号も交換して「コンド イッショニ ノミニイコウ!」と約束した僕たちはそのまま別れました。

 

リンダちゃんのところに戻るころにはビアガーデンの終了時刻ギリギリだったので、重い空気を引きずることなく、それぞれ解散しました。

 

まぁ、ただリンダちゃんのところに戻る際、遠目にもわかる竜太郎さんとリンダちゃんの真顔は二度と忘れないでしょう。

 

ロドリゲスがいなければ僕もあんな顔をしていたかもしれません。

 

 

……という、話でした。

 

 

 

 

今回の地獄から学んだのは、

 

外国人はめっちゃいいやつばかりだということです。

 

絡んできた外国人はみんな明るく、友達のように接してくれました。

また、どのビールを頼むか、と聞かれ「ロドリゲスと同じやつにするよ」と返すと、十分程度「ニホンジン ハ ドンナアジガ コノミ カ ワカラナイ……」と、僕のことを考えて熟考してくれた彼には非常に好感を持ちました。

肩を組んで「オレタチ シンユウ!」と言いながら乾杯したことは忘れないでしょう。

 

言語の壁を感じて敬遠するには惜しい人たちばかりなので、皆さんも困っている外国人を見つけたら助けてあげてください。

 

あと、キャバ嬢にガチ恋するのはほどほどに。

今回のようなことがないとも限りません。

会いに行ったにも関わらず不機嫌になってしまうこと請け合いです。

 

という、非常に奇妙ながらも、割と印象に残った体験の話でした。

 

 

以上。