火災って恐ろしいですよね。
保険に入っているとはいえ、自分の聖域が消失するのはとてつもないショックがあります。
ましてや自分の過失で火事になったら後悔の念に押しつぶされてしまいそうですね。
これは実家暮らしでも一人暮らしでも共通していることだと思います。
そんな火災が万が一起こってしまった際に活躍するのが「消火器」や「火災報知器」、「消火栓」などです。
特に火災報知器なんかはマンションは勿論、一般の家庭にも広く普及されていますね。
「何らかの火種を残して就寝→寝てる間に火事→消し炭」という地獄のコンボを、「何らかの火種を残して就寝→火災報知器発動、目覚める→火が小さいうちに消火 or 即座に避難」という感じで封殺できる可能性が高まります。
タバコなど、持ち運べる火種があるので一部屋に一個あっても多すぎることはありませんね。
ただ、この火災報知器にも弱点はあります。
それは「火事以外でも作動する」ということです。
まぁ、誤作動は機械全般にありえる話ではあるのですが、火災報知器の場合は正常に作動しているが故に起こってしまうんですよね。
例えば以下の場合です。
A「タバコ吸いたいなぁ」
A「いつもは外で吸うんだけど……めんどいし部屋で吸うか」
A スパーッ……(タバコを吸う)
火災報知器「ん? この匂い、もしかして……! はやく家主さんに伝えなきゃ!」
A フー……(煙を吐き出す)
火災報知器「火事だああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
A「!? なに!?」
火災報知器「あああああああああああああああ!!!!!!!!家主さん!早くにげてくださいいいいいいい!!!!!!」
A「うっさ!」
火災報知器「僕の事は置いて早く逃げてえええええええええ!!!!!!!!!」
……こんな感じですね。
火災報知器は人の話を聞かないので、最初に与えられた役割だけをこなします。
社会人としては割と失格なタイプですね。
今回の例ではタバコという煙が出るものを部屋の中で吸っているため、このAさんに責任がないとは言えませんが、場合によっては埃で誤作動を起こす場合もあるらしいので火災報知器くんにはもう少し柔軟な思考で働いてもらいたいと思います。
という、長い前置きになりましたが、そろそろ僕の体験談に移ります。
これは一人暮らし三日目のことです。
時間は深夜一時ごろ。
珍しく夜更かしをしていた僕は入浴後、火元や給湯器を念入りに確認して布団に入りました。
そして5~10分後くらいでしょうか。ウトウトしだした矢先にそれは起こりました。
「ジリリリリリリリリリリリ!!!!!」
部屋の外からけたたましく鳴るベルが聞こえました。
いや、聞こえるとかいう生易しいレベルじゃありません。
他人に部屋の中で思い切りドラムを叩かれて「ドラムの音が聞こえるなぁ」と言う人はいませんよね?
騒音で攻撃されているのかと錯覚するほどの音圧で僕は飛び起きました。
しかし、突然の事で僕は状況がうまく呑み込めていませんでした。
確かに何か非常事態が起こっている。でも、何が起こったのかは分からない。
僕はおそるおそる音源に近いキッチンまで行きます。
今考えると部屋の外で消火栓が鳴っているとしか思えないのですが、混乱している僕からすればキッチンの換気扇がけたたましい音をあげているようにしか見えませんでした。
「え? 換気扇ってこんな機能ついてんの?」とバカなことを大真面目に考えた僕は、ひとまず換気扇をつけたり消したりして様子を見ました。
もちろん、音は鳴り止みません。
それでも、僕にできることは何一つありませんでした。
小鹿のように震えながらひたすら換気扇の紐を引き続けます。
ガチャッ、ガチャッ、と換気扇がリズムよく音を立てるおかげで状況はさながら騒音のオーケストラ。僕にはそれを楽しむ余裕なんてありませんでしたが。
「ひょっとして、これって僕が悪いの?」という気持ちで祈るように換気扇をいじること3分、ようやく謎の音は鳴り止みます。
おそるおそる部屋の外に出てガスメーターなんかも確認し、わけがわからないまま就寝しました。
……あの3分は永遠にも近い時間の流れを感じました。
当初は「火災報知器の誤作動だなぁ」なんて思ってましたが、よく考えてみればこれって鳴ってるのは消火栓ですよね。
もしかしたら誰か酔っぱらった人が押したのかもわかりません。
とにかく、引っ越し直後にこういうことを起こすのはやめてください。
せめて一か月後にしてください。
あと、書いてて思ったのは、これが本当の火事だったら確実に逃げ遅れていたな、ということです。
皆さん、非常事態ほど冷静になりましょう。
それと、僕のように換気扇をいじっている間に焼死とならないためにも、避難訓練は真剣に臨みましょう。
以上。