貴志祐介さんの『雀蜂』、面白いぞ

貴志祐介さんの作品を読み始めたのが大学2年生のときでした。

最初に読んだのが、1999年に映画化した『黒い家』。

以前記事にもしました(↓)が、僕は怪談話を過剰摂取して育ちました。

rightuncle.hatenablog.com

 

そんな僕がこの本を読んだとき、かなり久しぶりに戦慄したことを覚えています。

まぁ、ざっくり言えばサイコホラーで「結局人間が一番怖い」系の話なんですが、中盤からとにかく怖くて震えが止まらない。読んでいたのが夜であったことも相まって最悪の臨場感を持っていました。

これを読んでから「一人で夜で歩いている人」が少し怖くなりました。

あと、夜にコンビニに行くと否応なくこの作品を思い出します。

 

……と、今回は『黒い家』の紹介ではないのでこの辺にしておきます。

 

早速ですが、貴志祐介さんの著書『雀蜂』のあらすじ……というか内容は以下のような感じです。

 

「雪山の山荘で目覚めた小説家の安斎は、山荘の中に大量の雀蜂がいることを知る。安斎は過去に雀蜂に一度刺されており、もう一度刺されると命の保証がない。外は吹雪、通信機器もない中で安斎は生き残れるのか」

 

 

めっちゃ面白そうじゃないですか?

 

ホラー小説を探して角川ホラー文庫の棚を見ていた時に見つけたのですが、このあらすじを読んで即購入を決めました。

内容としてはあらすじ通り、ホラーという感じではありません。

 

どうやって助かるのか必死に考えて実行に移す……という姿は、「蜂に刺されたら死ぬ」という状況が非常に分かりやすいだけあってこっちまでハラハラします。

一度蜂に刺されているだけあって、次は刺されまいと蜂の知識を豊富に持っていた安斎の作戦はどれも面白く、かつ割とユーモラスに描かれています。

 

また、雪山で雀蜂が活動しているわけもないので、この状況は「誰か」によって人為的に作られたものだと安斎は考えます。その犯人捜しの推理もかなり見どころです。

 

そして、やっぱり最高なのはラストシーン。

今回は言及しませんが、物語全体を皮肉るような驚愕のラストです。

もう一周読みたくなること間違いありません。

 

では、amazonのリンクを貼っておきますね。

 

雀蜂 (角川ホラー文庫)

雀蜂 (角川ホラー文庫)

 

 

 

本の厚さとしては大体250ページないくらいなので、割とさっくり読めると思います。

貴志祐介さんを知らないという人も、『雀蜂』を読んでみてはいかがでしょうか。

「この人は物語を作るのがうますぎる」と感じて別の作品も読みたくなるでしょう。

 

他作品で個人的なおすすめは『天使の囀り』です。

生理的嫌悪感がすごいのと、やっぱりラストで皮肉が利いているのもいい。

これは絶対に映画化されないだろうな……というような、これも心霊現象が起こらないホラー作品です。

 

『雀蜂』を読んだ人はぜひ読んでみてね。

 

以上。