僕は『図書館の魔女』がだーい好き

 

 

 

 

はじめに

僕は『図書館の魔女』という小説が大好きです。

この小説は2013年、第45回メフィスト賞受賞作であり、現在『図書館の魔女』上下(文庫版は4巻まで)と続編の『図書館の魔女 烏の伝言』が出版されています。 

 

今回は僭越ながら、僕が感じたことを書いていきたいと思います。

 

 

 

 

『図書館の魔女』を読んでない人に向けて

まず、『図書館の魔女』の内容について簡単に書いておきます。

 

「山育ちの主人公キリヒトは王宮の命によって、「図書館の魔女」と恐れられている少女マツリカに仕えることになる。巻き込まれる国々の動乱に彼らはどう立ち向かうのか」

 

みたいな感じです。ええ、全然わからないですよね。

読む前は一切分からなくていいです。

……本のおすすめで言うことではないですがね。

 

正直『図書館の魔女』を読むなら、ストーリーに関しては予備知識ゼロで挑んでほしいのです。というのも、書かれている文章や展開、設定に巧みに伏線が張ってあるためそれを一つでも潰してしまうのが忍びない。

というより、結局マツリカ様が丁寧に説明してくださいますので、僕のブログよりもマツリカ様に聞いてください。

 

「うーん、全然分からん。これ面白いの?」と思ったあなた。

 

死ぬほど面白いです。

個性的で魅力あふれるキャラクター、綿密に組まれたストーリーと世界観、論理的で聡明な推理、迫力あるバトルシーンなど、見どころは語りきれないほどあります。

最初の展開がスローペースではありますが、それが後々効いてくるんです。

そして、進めば進むほど、「この物語が終わってほしくない」と思うことでしょう。

 

是非、未読の方は読んだ後にこの記事に戻ってきてください。

そして僕と語り合いましょう。

 

そして、以下は読んだ人向けに話していきます。

ネタバレは極力含みませんが、未読の方にはあまりお勧めしません。

ぜひ、自分の目でその世界を味わってみてください。

 

 Amazonのリンクも貼っておきますので……。↓

図書館の魔女 第一巻 (講談社文庫)

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僕が好きなキャラクター

 

ここでは、特に好きな二人を上げようと思います。

まず、みんな大好きマツリカ様。

 

まず特筆すべきは、少女の見た目に釣り合わないあの知識量と鋭い洞察力です。

今回のおまけにある「アレ」もマツリカ様の知識の1部でありますし、特に街にめぐらせた水道に関しの洞察は非常に素晴らしいですよね。

一方で少し人間味に欠ける面もあり、冷静な分析はハードボイルドであるとも言えます。

 

かと思えば、怖いものが割とあって、それを指摘されるとムキになって反論する、といったような「少女らしさ」を時々覗かせるギャップがまた良い。

毅然とした態度を装いながら、市場で嬉しそうにはしゃぐマツリカ様を見た時は非常に心が温かかったです。

 

 

 

そして、もう1人の好きなキャラクター。

 

イラムです。

 

マツリカ様たちの身の回りの世話をする侍女です。

この子は優しい。とにかく優しい!

キリヒトが落ち込んだ時に真っ先に励ましてくれたイラム。おバカキャラとはまた違う明るさと人の温かさをこのキャラクターから感じます。

彼女は聾唖者(耳が聞こえず、話すことも出来ない人)です。しかし、反対におしゃべり(ものすごい速さの手話)で、マツリカ様にも「秘密にするのが得意じゃない」と言われてました。

 

それと、イラムの作る料理が美味しそうなのも書いておきます。

『図書館の魔女』で記述される料理に関しては、どれも記述が細かくて美味しそうなのですが、その中でも僕はイラムの作った窯焼きのパイが食べたいと思っています。塩漬けの肉がゴロっと入ったやつ。

 

 あと、イラムについて話す際に外すことができないのはアキームですよね。

イラムとアキームが初対面のときに厨房で挨拶を交わした場面、僕は本当に泣きました。

 あのシーンはイラムの優しさで涙がでるよ……。

 

アキームもまたいいんですよね!

イラムと話そうと頑張って手話を覚えようと……と、話したいことが山ほどありますが、このあたりで一旦やめておきます。

 

 

 

 

おまけ:マツリカ様の言っていたアレについて

『図書館の魔女』を読んだ人に聞きます。

 

ピジンって知ってますか?

 

恐らく知らないと思います。

かくいう僕も、偶然大学で学ぶまで知らなかったので……

 

では、「ピジン」についてwikipediaより引用します。

 ピジン言語ピジンげんご、Pidgin language、または単にPidgin)とは、現地人と貿易商人などの外国語を話す人々との間で異言語間の意思疎通のために互換性のある代替単語で自然に作られた接触言語

……なんだかピンとこないですね。 

 

分かりやすく例を出します。

ほとんど英語を理解していない小学生の僕(単語は少しだけなら分かる)と日本語を話せないアメリカ人のA(日本語が少しだけなら分かる)が会話した際に使われる言葉です。

 

僕(やべー、アメリカに来たはいいけど駅の場所がわからん……家族とも離れちゃったし……)

 

僕(あ、優しそうな警察の人がいるな。よし、頑張って道を聞いてみよう……)

 

僕「あ、あの」

 

A「〇×※△◎>&%$‘*?」

 

僕(あー、何言ってるのか全然わからん……もうやけくそだ。)

 

僕「あのー、ステーション イズ どこ?」

 

A(あー、日本人ね。英語が分からない、と。ステーション? stationか。「どこ」……は、「where」だったような。なるほど、駅の場所が知りたいのか)

 

A「Umm……Station ハ マエ。マエ イク。OK?」

 

僕(ここを真っすぐかな)「お、オーケー」

 

A「turn left In front of a red building」

 

僕「?」

 

A「……キミ ハ……アカ building……アカ ビッグ……イエ マエ turn left」

 

僕(赤、ビッグ、家、前、ターン、レフト……ああ、あの大きい赤い建物の前で左に曲がれってことか。わかったぞ)

 

僕「どーもサンキューです!」

 

……と、ここのやり取りで登場した「日本語でも英語でもない言語」がピジンです。

「Umm……Station ハ マエ。マエ イク。OK?」のような、Aが頑張ってアホの私に伝えようとしていたものなんかがそうですね。

ポイントはあまり長い話をしないことらしいです。ちょっと会って一言二言交わして生まれることが多いようです。

 

 

そうピジンとは『図書館の魔女』二巻にて、市でマツリカ様がキリヒトに言っていたアレです。

 

言語学の専門講義を受けていた際は「この知識は言語学の人しか使わないでしょ」と思っていましたが、こんなところでお目にかかれるとは……。

イラムのときとは違う種類の感動がありました。

 

また『図書館の魔女』では「言語の恣意性」や螺旋階段で話していた「言語の線上性」についても分かりやすく、幻想的にな表現で語っていますので、言語学を齧った人にはたまらないのではないでしょうか。

 

続編『図書館の魔女 烏の伝言』についても語りたいことがあるのですが、またの機会にします。

 

今回は以上です。